ワイングラスの正しい持ち方がわからず、レストランで恥ずかしい思いをしたことはありませんか?ワイングラスの持ち方は見た目の印象だけでなく、ワインの味わいにも影響する大事な要素です。この記事では、ワイングラスの正しい持ち方やマナー、日本と海外の違いなどを解説します。

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- 仕事以外でも年間100本のワインを飲む愛好家
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ワインのプロが初心者の方にもわかりやすく解説します。
記事を読めば、どんなシーンでもワインを楽しめます。ワイングラスの持ち方は、ステム(脚の部分)を持つのが正解です。ステムを持つことにより、手の温度がワインに伝わるのを防ぎ、適温でワインを楽しめます。
ワイングラスの持ち方の重要性


ワイングラスの持ち方の重要性に関する、以下の2点を解説します。
- ワインの風味を最大限に引き出す
- 洗練された印象を与える
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ワインの風味を最大限に引き出す
ワイングラスを適切な持ち方で使用すると、ワインが持つ本来の香りや味わいを十分に楽しめます。ワイングラスの適切な持ち方により、ワインの温度を保ち、指紋や手の油脂がグラスに付くのを防ぐことが可能です。
白ワインや軽めの赤ワインなど温度変化に敏感なワインでは、手の熱がワインの味わいを変えてしまう場合があります。ワインの香りを楽しむためには、ワイングラスを優しく回して空気と触れさせましょう。ワイングラスのステムを持つと、グラスの中のワインを均一に回せます。
ワインのテイスティング時には、約1/3程度のワインを注ぎ、グラスを傾けながら香りを確認するのがおすすめです。ワイングラスのステムを持てば、ワインの視覚的な美しさや複雑な香り、繊細な味わいを最大限に引き出せます。
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洗練された印象を与える
正しいワイングラスの持ち方を身に付けると、自信を持った振る舞いが可能です。ワイン通として認識され、ビジネスでの信頼感アップにつながります。高級レストランやビジネスの場など、シーンに応じた持ち方の使い分けも大切です。
特にフォーマルな場やデート、接待の場では、ワイングラスの持ち方は相手に与える印象を大きく左右します。ワイングラスを正しく持つことは、社交の場での自信にもつながります。
ワイングラスの正しい持ち方を実践すると、会話でワインの知識をさりげなく披露できます。ワイングラスを持つ際は、自然体でいるのが大切です。意識しすぎると不自然な印象を与えてしまうため注意しましょう。
ワイングラスの部位ごとの名称と役割


ワイングラスは、ワインの魅力を最大限に引き出す重要な道具です。以下のワイングラスの部位ごとの名称と役割を解説します。
- リム
- ボウル
- ステム
- フット(プレート)
リム


ワイングラスのリムは、グラスの最上部にある飲み口部分です。リムの厚さや形状によって、ワインが口に入るときの感覚が変わります。リムが薄いワイングラスほど高品質とされており、ワインの風味をより繊細に感じ取ることが可能です。
リムが厚いワイングラスだと口当たりが悪く、ワインの味わいを十分に楽しめない場合があります。リムの形状には、カットリムとロールドリムがあります。カットリムは鋭く切り出されたエッジを持っているのが特徴です。カットリムは高級ワイングラスに多く見られます。
ロールドリムは丸みを帯びた縁が特徴で、カジュアルなワイングラスに多く使われています。赤ワイン用のグラスは広めのリムで香りを解放しやすく、白ワイン用は狭めのリムで香りを閉じ込める設計です。リムは指紋や油分がつきやすいため、ワイングラスを持つ際はリム部分に触れないよう注意しましょう。
ボウル


ボウルはワインを注ぐ場所です。ボウルの形状はワインの種類によって異なります。赤ワイン用のグラスは大きく広い形状、白ワイン用は小さめで細長い形状が特徴です。ボウルはワインの香りを集め、適切な温度に保つ役割があります。



白ワインでも、ブルゴーニュグラスやモンラッシェグラスのボウルは大きく丸い形をしています。
ボウルの大きさがワインと酸素の接触面積に影響し、香りの開き方を左右します。広いボウルを持つ赤ワイングラスは、複雑な香りを持つ赤ワインの芳香成分を十分に引き出すために設計されました。ワインを楽しむ際の基本として、ボウルを直接持つのは避けましょう。指の体温でワインの温度が上昇するためです。
カジュアルな場では、ボウルを持つ場合もあります。ボウルを持つ場合は、下部を持ち、指紋がつかないよう注意しましょう。プロのソムリエは、ボウルを意図的に持ってワインの温度を調整する場合もあります。ワインテイスティングの際には、ボウルを傾けて色調や粘性を確認することも大切です。
ボウルの形状は、複数のブドウ品種をブレンドした香りでも嗅ぎ分けやすい設計になっています。ワイングラスを適切に使い、ワインの魅力を引き出しましょう。



複数のブドウ品種をブレンドして、単一品種よりも複雑な風味を作り出すことを「キメラ効果」と呼びます。
ステム
ワイングラスのステムは、ボウルとフットをつなぐ細長い部分です。適切にステムを持てば、ワインの温度を一定に保ち、本来の風味を楽しめます。ステムを持てば、冷やして飲む白ワインやシャンパンの温度変化を最小限に抑えることが可能です。グラスの種類によってステムの長さや太さは異なります。
白ワイン用グラスは長めのステムが一般的で、赤ワイン用グラスは比較的短めのステムが多い傾向にあります。最も長いステムを持つのがシャンパングラスです。
フット(プレート)
フットはワイングラスを安定して置くための土台です。フットの特徴は以下のとおりです。
- 平らな円形の形状
- グラスの安定性の確保
- 滑らかに処理された縁
- ボウルより広い直径
高級ワイングラスのフットには研磨が施されています。フットはワイングラスの重量バランスを調整する重要な部分です。フットはワイングラスを持ち上げる際に指がかかるため、ステムとの接合部分には強度が必要です。ワイングラスのサイズやタイプによってフットの大きさは異なります。



映画や海外の影響もあって、グボウル部分だけのワイングラスも人気が高まっています。



ステムやフット部分がないワイングラスは、手の温度をワインに伝えないよう指の腹でグラスを持つのがポイントです。
ワイングラスの持ち方の種類


ワイングラスは状況に応じた持ち方を選ぶと、ワインの味わいを最大限に楽しめます。以下のワイングラスの持ち方を解説します。
- ステムを持つ
- ボウルを持つ
ステムを持つ
ワイングラスのステムを持つ理由は、ボウルに指の熱が伝わるのを防ぎ、ワインの適温を保つためです。白ワインやスパークリングワインは温度が上がると風味が損なわれるため、飲む際はステムを持ちましょう。正しいステムの持ち方は以下のとおりです。
- 人差し指と親指でステムを挟む
- 残りの指で自然に支える
- 中指をフットの上に添える
ワイングラスを回してワインの色や香りを確認する際は、ステムの根元を持つとスムーズに操作できます。ステムを持てばボウルに指紋が付かないため、ワインの色や透明度を正確に観察可能です。フォーマルな場面ではステムを持ちましょう。ステムを持つことで洗練された印象を与えられます。
長いステムのワイングラスを使用する場合は、バランスを取るのが難しいため、持ち方に注意しましょう。赤ワインや白ワイン、スパークリングワインなどでも、基本的にはステムを持つのがマナーです。



ステムは半分より少し下あたりを持つとバランスが取りやすいです。
ボウルを持つ
ボウルは、グラスの下部を手のひらで包み込むようにして持ちましょう。ボウルを持つメリットは、手の体温がワインに伝わり、香りや風味を引き出せる点にあります。赤ワインは少し温度を上げるだけで香りが開くため、ワインの状態よってはボウルを持つ方法も良しです。
ボウルを持つ際は、親指と人差し指でワイングラスを支え、残りの指で下部を包み込みます。ボウルを持つとグラスが安定するため、自宅で気楽に飲むときやカジュアルなパーティー、バーベキューなどの気軽な場にはおすすめです。冷えすぎた赤ワインを適温にしたいときにも役立ちます。
ボウルを持つと指紋がグラスに付きやすく、スマートさが損なわれるため注意しましょう。冷やして飲む白ワインやスパークリングワインには不向きです。
日本と海外のワイングラスの持ち方の違い


日本と海外ではワイングラスの持ち方に文化的な違いがあります。主な違いは以下のとおりです。
- 日本ではステムを持つことが多い
- 海外ではボウルを持つケースもある
日本ではステムを持つことが多い
日本のワイン文化では、ワイングラスをステムで持つスタイルが主流です。ステムを持つのは単なる見た目の問題ではなく、実用的な理由にもとづいた習慣です。日本ソムリエ協会や高級レストラン、その他料飲店などでも、ステムを持つ作法が実践されています。
ワイングラスの見た目の美しさを保つ観点からも、ステム持ちが推奨されています。洋食だけでなく日本料理でも、ステム持ちが一般的です。レストランやホテルのサービススタッフも、ステムを持つスタイルでワインをサービスします。
日本ではワインの品質を最大限に楽しむための配慮と、マナーとしての側面から、ステムを持つスタイルが広く定着しています。
海外ではボウルを持つケースもある
欧米のワイン文化では、ボウルを持つスタイルが広く受け入れられています。カジュアルな場面では、ワイングラスのボウル部分を手で包むように持つのが一般的です。ボウルを持つことにより、体温でワインを適度に温めて香りや風味を引き立てます。
赤ワインは少し温度が上がると複雑な香りが広がるため、ボウルを持つスタイルが好まれます。フランスやイタリアなどの伝統的なワイン生産国では、家庭での食事時にボウル持ちが日常的です。カリフォルニアやオーストラリアなどの新世界ワイン産地では、よりカジュアルな雰囲気でワインを楽しむ文化があります。
高級レストランでも、赤ワインに限ってはボウル持ちが許容される地域もあります。ボウルを持つ場合は、ワイングラスの下部を軽く支えるように持つとエレガントな印象を与えることが可能です。ワイングラスの持ち方は国や地域、シーンによって変わります。
海外でワインを楽しむ際は、場所や雰囲気に合わせた持ち方を選びましょう。
ワイングラスを持つ際のマナー


ワイングラスを持つ際のマナーは、以下のとおりです。
- 乾杯の際はワイングラスをぶつけない
- 注いでもらう際はワイングラスをテーブルに置く
乾杯の際はワイングラスをぶつけない
乾杯の際にワイングラス同士をぶつけるのはマナー違反です。ワイングラスは繊細で割れやすいため、音を立てる行為は避けましょう。正しい乾杯の方法は、ワイングラスを軽く掲げて「乾杯」と言うだけです。目線を合わせながら、グラスを前に少し出す程度の控えめな動作が丁寧な作法とされています。
フォーマルな場やビジネスシーンでは、控えめな乾杯を心がけてください。ヨーロッパには「グラスを鳴らすと悪魔が出る」という言い伝えがある地域もあります。ワイングラス同士を合わせる場合は、縁ではなくボウルを軽く触れる程度にすると安全です。人数が多い場合は、全員とワイングラスを合わせる必要はありません。
少人数なら視線を合わせるだけでも十分な場合があります。ワインを楽しむ場では、ワイングラスを大切に扱うのが基本的なマナーです。
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注いでもらう際はワイングラスをテーブルに置く
ワインを注いでもらう際は、ワイングラスをテーブルに置くのがマナーです。ワイングラスをテーブルに置いておくと、注ぐ側の人が安定した状態でワインを注げます。ワインを注ぐ量は、ワイングラスの1/3程度が目安です。注いでもらった後は、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
レストランでは、ソムリエやスタッフからワインを注がれるのを待つのがマナーです。自分で他の人にワインを注ぐ場合も、相手のワイングラスがテーブルに置かれている状態で注ぎましょう。グラスを持ったり傾けたりせず、何もしないことは注ぐ側にとって安心感を与えます。
ワイングラスの持ち方に関するよくある質問


ワイングラスの持ち方に関するよくある質問は、以下のとおりです。
- ワイングラスはどちらの手で持つべき?
- ワイングラスが複数ある場合の持ち方は?
ワイングラスはどちらの手で持つべき?
正式なマナーでは、ワイングラスのステムを持つのが基本で左右どちらの手でも大丈夫です。公式の場でもビジネスシーンでも、どちらの手でワイングラスを持ってもマナー違反にはなりません。ただし、ワインのステムを持つことは基本的なマナーであると知っておきましょう。カジュアルな場では、ワイングラスのボウルを持っても問題ありません。
右利きの人は、世界人口のおよそ90%前後を占めると言われています。そのため、一般的には右利きを基本とされてきましたが、TPOに合わせて臨機応変に対応するのが現代的な考え方です。使いやすい方の手でワインを楽しみましょう。
ワイングラスが複数ある場合の持ち方は?
複数のワイングラスがテーブル上にある場面では、外側から内側へと順に使用します。料理の進行に合わせて外側から順番に使用しましょう。使い終わったワイングラスはテーブルに置いておき、スタッフが下げるのを待ちます。ワインを楽しむ際はステムを持ち、ボウルに指紋が付かないよう気をつけましょう。



結婚式や宴会場でのパーティーなどでは、複数のワイングラスが事前に並べられているのが一般的なスタイルです。



サービス側の話ですが、グラスを指の間に挟んで、複数を一度に運ぶ持ち方を「スタッキング」と言います。「へぇ〜」と思えるサービス側の豆知識として覚えておくと、ワイン通っぽい話題にもなりますよ。
まとめ


ワイングラスの持ち方は、ワインの風味を守るだけでなく、マナーとしても重要です。ワイングラスのステムを持つことで温度変化や指紋を防ぎ、ワインの味わいを最大限に楽しめます。ボウルを持つ場合は、赤ワインやカジュアルな場面での使用がおすすめです。
乾杯の際はワイングラス同士をぶつけないのがマナーです。ワインを注いでもらうときはワイングラスを持ち上げないようにしましょう。ワイングラスは左右どちらの手で持っても問題ありません。
正しいワイングラスの持ち方を身に付け、さまざまな場面でもワインを楽しみましょう。