ワインを楽しむための正しい飲み方を知らない人は多いです。適切な飲み方を知らないと、ワインの魅力を十分に楽しめません。本記事では、ワインの飲み方やマナー、テイスティングの手順を詳しく解説します。

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ワインのプロが、初心者の方にもわかりやすく解説します。
記事を読むことで、ワインの魅力をより深く楽しめるようになります。正しい知識を身に付け、ワインを存分に楽しみましょう。
ワインの飲み方の基本


ワインの飲み方の基本は、以下のとおりです。
- 適切な温度でワインを楽しむ
- ワインに最適なグラスを選ぶ
- デキャンタの役割を知る
適切な温度でワインを楽しむ
ワインを楽しむ際は、適切な温度管理が重要です。適切な温度でワインを飲むと、本来の香りや味わいを楽しめます。温度が高過ぎるとアルコールの刺激が強まり、低過ぎると香りや風味が損なわれます。ワインの種類による適切な温度は、以下のとおりです。
- 赤ワイン
- 15〜18度の温度が理想的です。豊かな香りと味わいが引き立ちます。
- 白ワイン・ロゼワイン
- 8〜12度の温度で飲むと、フルーティーな味わいが際立ちます。
- スパークリングワイン
- 6〜8度の温度で提供しましょう。清涼感が増して爽やかな飲み心地を楽しめます。
ワインに最適なグラスを選ぶ


ワインの種類に応じたグラス選びは、味わいを最大限に引き出すための重要な要素です。ワインの種類別の適したグラスの形は、以下のとおりです。
- 赤ワイン
- 大きくて丸みを帯びた形のグラスを用意しましょう。空気との接触面が増え、芳醇な香りを引き出せます。
- 白ワイン
- やや小ぶりで縦長のグラスが適しています。白ワインの繊細な香りとフレッシュな味わいの保持に効果的です。
- スパークリングワイン
- 細長いフルート型のグラスが適しています。泡の持続性を高める効果があります。
グラスの材質にもこだわりましょう。クリスタル製のグラスは、透明度が高く薄いため、ワインの色や香り、味わいを際立たせます。縁が薄いグラスは、口当たりが良く、ワイン本来の味をより直接的に感じられます。
デキャンタの役割を知る
デキャンタの役割は、ワインの風味や香りを引き出すことです。ワインをデキャンタに注ぐと、空気との接触によって香りが豊かになり、味わいが柔らかくなります。古いヴィンテージワインやタンニンの強い赤ワインに特に効果的です。
デキャンタを使用して沈殿物を取り除くことで、澄んだ味わいを楽しめます。ワインをデキャンタに注ぐ行為には、儀式的な要素も含まれており、食事の場を楽しませる効果もあります。
【種類別】ワインのおいしい飲み方


ワインを最大限に楽しむには、種類に応じた適切な飲み方を知ることが重要です。ワインの種類別に、おいしく飲むための方法を紹介します。
» ワインの基礎知識から各種ワインの違い、選び方を詳しく解説!
赤ワイン
赤ワインは、常温よりもやや低めの15〜18度が適温です。フルボディの赤ワインは、デキャンタでワインを空気に触れさせると、ワイン内の成分が酸化して風味が向上します。ライトボディや早飲みタイプの赤ワインは、繊細な香りや味を活かすため、12度前後での提供がおすすめです。
広めのボウルを持つ専用グラスを使用すれば、ワインと空気が十分に触れ合い、香りと味わいを存分に楽しめます。食事とのペアリングでは、赤身の肉や重めの料理と好相性です。赤ワインの濃厚な味わいにより、肉料理の風味を引き立て、味に深みを加えます。
白ワイン
白ワインを楽しむ際の理想的な温度は、8〜12度です。ワイン本来の味わいや香りを引き出せます。白ワインには多様な種類があるため、各種ワインに適した食事とのペアリングを楽しみましょう。軽やかな辛口の白ワインは、シーフードやサラダとの相性が良く、爽やかな酸味が料理の味を引き立てます。
一方、オーク樽で熟成された濃厚な白ワインは、クリーミーな料理やチーズと合います。白ワインを注ぐ際は、ボトルの底を持ち、グラスにゆっくりと流し入れましょう。ワインの風味を保ちつつ、適切な量を注げます。
白ワイン用のグラスは、赤ワイン用よりも小さく細身の設計です。ワインの香りや風味が口元に集まりやすく、より豊かな味わいを感じられます。
» 赤ワインと白ワインの違いを知っておいしく楽しもう!



熟成された白ワインではブルゴーニュグラスのように大きなボウル型のモンラッシェグラスを使用します。



モンラッシェグラスは、白ワインの香りを際立たせ、より濃厚な香りを楽しみたい場合にぴったりなグラスです。
ロゼワイン


ロゼワインは、美しい色合いとフルーティーな味わいで人気があるワインです。淡いピンク色は、赤ワイン用ブドウの果皮を短時間だけ果汁に漬け込んで造られます。赤ワインと白ワインの中間的な特性を持ち、独特の魅力があります。
ロゼワインは、8〜10度に冷やして飲むのがおすすめです。爽やかで軽やかな味わいは、暖かい季節にぴったりです。さまざまな料理とも相性が良く、軽めの食事やサラダ、シーフードなどと組み合わせると、食材の味が引き立ちます。
スパークリングワイン
スパークリングワインは、きめ細かな泡を楽しめるワインです。発酵の過程で瓶内に閉じ込められた炭酸が、美しい泡を生み出します。主な産地は、フランスのシャンパーニュ地方をはじめ、イタリアやスペインなどです。各地で使用されるブドウの品種や製法の違いから、それぞれの土地ならではの個性が生まれます。
スパークリングワインの最適な飲用温度は6~8度です。食前酒として人気があり、軽い前菜や塩気のある料理との相性が抜群です。泡が長持ちするよう、専用のスパークリンググラスで提供され、美しい見た目と味わいを存分に楽しめます。開封時は瓶内の内圧に注意し、ゆっくりと栓を開けましょう。
» シャンパンとスパークリングワインの違いは何?選び方と楽しみ方
ワインをおいしく飲む方法


ワインをおいしく飲むための方法は、以下のとおりです。
- 色とにごりを観察する
- 香りを楽しむ
- テイスティングする
色とにごりを観察する
色とにごりの観察は、ワインの品質や種類を理解するうえで重要です。ワイングラスを光にかざすと、色の深さや透明度を確認できます。色が濃いほどワインは力強い味わいが期待でき、透明度が高いほど爽やかな口当たりを楽しめる場合が多いです。
赤ワインは、紫がかった色合いであれば若々しく、茶色がかっていれば熟成された豊かな味わいを示します。白ワインは、緑がかった色合いであれば若々しく、黄金色が深いほど熟成された複雑な香りと味わいを示します。色とにごりを観察して、ワインの状態や特性をより深く理解しましょう。
香りを楽しむ


香りを楽しむことは、ワインの品質と特性を知るうえで重要な要素です。グラスをゆっくり回すと、木や果実、花、香辛料といった多様な香りを感じ取れます。鼻をグラスの中に近づけ、息を深く吸い込んでください。ワインが持つ複雑な香りの層が広がります。
異なる種類のワインを同時に比較すれば、それぞれの香りの違いをより明確に楽しめます。ワインの香りを正確に評価する際は、清潔なグラスの使用が欠かせません。周囲の香りがグラスに影響しないよう、十分に注意しましょう。
テイスティングする
ワインのテイスティングは、風味を最大限に引き出すための方法です。テイスティングの手順は、以下のとおりです。
- 1.色と透明度を確認する
- 少量のワインを注いだグラスを傾け、色と透明度を確認しましょう。ワインの熟成度や品質を知る手がかりとなります。
- 2.ワインに空気を触れさせる
- グラスを軽く回して、ワインに空気を触れさせます。ワインの香り成分を開放させる重要な方法です。
- 3.香りを深く吸い込む
- 鼻をグラスの口に近づけ、香りを深く吸い込んでください。ワインに含まれる木や果実、スパイスなどの香りを感じ取れます。
- 4.ワインを口に含む
- ワインを口の中で転がしながら、甘味や酸味、渋味、アルコールなどのバランスを感じ取りましょう。ワインが舌の異なる部分に触れると、複雑さや調和が感じられます。
- 5.余韻を楽しむ
- ワインを飲んだ後の余韻を楽しむことも大切です。余韻の長さや、口に残る味の変化を注意深く評価しましょう。ワインの全体的な質や特徴をより深く理解できます。
ワインの飲み方に関する注意点


ワインの飲み方に関する注意点は、以下のとおりです。
- ボトルの開け方に気を付ける
- ポイントを押さえてワインを注ぐ
- 適切な温度と湿度で保管する
ボトルの開け方に気を付ける
ボトルを適切に開けることは、ワインの品質維持につながります。コルクのボトルはコルクスクリューを使用し、スクリューキャップの場合は手で開けられます。コルクスクリューを使用する際は、コルクの中心にしっかりと差し込み、力を均等にかけてゆっくりと引き抜いてください。
コルクが破損した場合は、残った部分を丁寧に取り除きましょう。古いワインはコルクが破損しやすいため、アヒルビルやバタフライ型などの専用コルクスクリューの使用をおすすめします。開封後はコルクの状態をチェックし、ワインの保存状態を確認しましょう。
» ワインの栓の種類と具体的な開け方を徹底解説!
ポイントを押さえてワインを注ぐ


ワインを注ぐ際は、ボトルを45度の角度に傾け、グラスの1/3程度を目安にゆっくりと注いでください。ワインがグラスの中で酸化し、香りが引き立ちます。
ボトルの口元をグラスの縁に軽く沿わせると、滴り落ちることなく綺麗に注げます。注ぎ終わった後は、ボトルを軽く捻って余分な滴を防ぎ、グラスの足を持って拭き取りましょう。美しい作法は、味わいだけでなく、その場の雰囲気を豊かにします。
適切な温度と湿度で保管する
ワインを保管する際は、適切な温度と湿度が重要です。理想的な保管環境は、温度が12~14度、湿度が60〜70%です。温度と湿度を一定に保つとワインが熟成され、品質が長持ちします。ワインは温度変動が少ない安定した環境で保管する必要があります。
急激な温度変化は、ワインの品質に悪影響を与える可能性があるため、温度が一定の保管場所を選んでください。ワインは光に敏感なため、直射日光や強い光が当たらない暗い場所での保管が理想的です。保管場所には、適度な空気の流れも必要です。完全な密閉や過度な換気を避けられる環境で保管すると、ワインを最適な状態に保てます。
ワインの飲み方に関するマナー


ワインの飲み方に関するマナーは、以下のとおりです。
- ワイングラスを正しく持つ
- 乾杯や飲む際のエチケットを忘れない
- ワインを注がれた際の対応に気を付ける
ワイングラスを正しく持つ


正しいワイングラスの持ち方は、ワインの味わいを深めるために重要です。グラスの脚を持ち、手の温度がワインに直接伝わることを防ぎましょう。グラスの脚は、中央より少し下を指先で優しく包み込むように持ってください。グラスが安定しやすく、リラックスした状態でワインを楽しめます。
乾杯や飲む際のエチケットを忘れない


乾杯や飲む際のエチケット(作法)は、食事やパーティーでの心地良いコミュニケーションとなる重要な要素です。乾杯の際は、グラスを目線の高さに軽く持ち上げるだけに留め、グラスを合わせる必要はありません。強くぶつける行為は避けましょう。乾杯の言葉は「乾杯」とするか、場に応じた言葉を選びます。他の参加者が準備できるまで待ち、全員が揃ってから乾杯をします。
飲み始める前に、テーブル上の人々と目を合わせ、微笑みを交わしましょう。飲むペースを周りの人と合わせると、一体感が生まれて場の雰囲気が良くなります。



ワイン文化の本場であるフランスやイタリアでは、グラスを合わせないのが一般的です。



ワイングラスは、軽くぶつける程度でも割れるリスクがあります。特に高級グラスは薄造りで、レストランでは音を立ててぶつける行為は不作法とされがちです。
ワインを注がれた際の対応に気を付ける
ワインを注がれた際の適切な対応は、ホストや他のゲストに対して礼儀正しい印象を与えます。ワインを注がれる際はグラスを持ち上げず、テーブルに置いたままにするのが基本です。ワイングラスを注ぎやすい場所に移動させ、注いだ人に対して会釈すれば敬意を表せます。
注がれるワインの量に注意を払い、適量であるかを見極めてください。適量を超えて注がれそうになった場合は、丁寧に意思表示をしましょう。ワインの銘柄や特徴について話があれば、興味を持って聞き、ワインを注いでくれた人に感謝の意を示します。
ワインが注がれた後は、グラスを静かに持ち、色や香りを楽しんでください。ワインの品質を確かめるとともに、より深く味わう心の準備が整います。ワインの提供者に向けて、感謝の言葉も送りましょう。
まとめ


ワイン本来の魅力を堪能するには、正しい飲み方を身に付けることが重要です。ワインの種類によって最適な温度やグラスを選ぶと、本来の味や香りを引き出せます。デキャンタを使用して、ワインが空気に触れる面積を増やせば、香りをより一層楽しめます。
ワインを飲む際は、色やにごり、香りの観察から始めましょう。ワインの品質を保つには、適切な注ぎ方や、保管方法の理解も重要です。ワインのマナーを意識すれば、より充実した体験を得られます。正しい飲み方を身に付け、ワインの奥深い世界を楽しみましょう。