カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴とは?人気の理由や代表的な産地も詳しく解説

カベルネ・ソーヴィニヨン ブドウ

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カベルネ・ソーヴィニヨンの名前は広く知られていますが、特徴や魅力まで理解している人は多くありません。カベルネ・ソーヴィニヨンを楽しむためには、ワインの特徴を深く理解しておくことが大切です。この記事では、カベルネ・ソーヴィニヨンの基礎知識から特徴まで、詳しく解説します。

嫁ちゃんソムリエ

ワインのプロが、初心者の人にもわかりやすく解説します。

記事を読めばカベルネ・ソーヴィニヨンの魅力がわかるため、自信を持ってワインを楽しめるようになります。カベルネ・ソーヴィニヨンは、濃厚な味わいと複雑な香りが特徴のワインです。「赤ワインの王様」とも呼ばれており、世界中の人に愛されています。
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目次

カベルネ・ソーヴィニヨンの基礎知識

カベルネ・ソーヴィニヨン 基礎知識

カベルネ・ソーヴィニヨンについて、以下の項目を解説します。

  • カベルネ・ソーヴィニヨンの歴史
  • カベルネ・ソーヴィニヨンが人気の理由

カベルネ・ソーヴィニヨンの歴史

カベルネ・ソーヴィニヨンは、フランスのボルドー地方で誕生した赤ワイン用のブドウです。カベルネ・ソーヴィニヨンの歴史は以下のとおりです。

17世紀頃〜
カベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの自然交配によって、カベルネ・ソーヴィニヨンが誕生しました。
19世紀〜
カベルネ・ソーヴィニヨンはフランスのボルドー地方で広く栽培され、高品質ワインの代表格として地位を確立しました。1855年に行われたボルドーワインの格付けでは、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたワインが高い評価を獲得しています。
19世紀後半
フィロキセラによって、カベルネ・ソーヴィニヨンは大きな危機にさらされました。フィロキセラとは、ブドウの木を食い荒らす害虫です。フィロキセラに耐性のある台木に接ぎ木することで、フィロキセラ禍を乗り切りました。
20世紀〜
1976年に開催された「パリスの審判」で高評価を受け、カベルネ・ソーヴィニヨンの評価は世界に認められました。パリスの審判とは、世界的なブラインドテイスティングのコンテストです。パリスの審判をきっかけに、ワイン産業が大きく発展しました。
現在
カベルネ・ソーヴィニヨンは、世界中の温暖な地域で栽培される国際品種へと発展しました。単一品種のワインだけでなく、ボルドーブレンドの主要品種としても重要な位置を占めています。

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カベルネ・ソーヴィニヨンが人気の理由

カベルネ・ソーヴィニヨンは多様性と品質の良さによって、世界中から愛されています。カベルネ・ソーヴィニヨンは、さまざまな気候や土壌に対応できる特性があります。病気に強く安定した収穫量が見込めるため、多くのワイン生産者に選ばれる品種です。

カベルネ・ソーヴィニヨンは、強いボディ感と複雑な風味が特徴的です。カシスやスパイスの香りが独特で、初心者でも楽しめます。さまざまな価格帯のワインが用意されているため、予算に合わせて選べます。
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カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴

カベルネ・ソーヴィニョン 特徴

カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴は以下のとおりです。

  • 濃いルビー色で重厚な味わい
  • 渋みが強く飲みごたえがある
  • カシスやブラックチェリーの香りが強い
  • 木の樽で熟成させるとバニラやスパイスの香りが出る

濃いルビー色で重厚な味わい

カベルネ・ソーヴィニヨンは、濃厚なルビー色が特徴的です。豊富なタンニンと厚い果皮によって、濃いルビー色が生まれます。カベルネ・ソーヴィニヨンは、若いほど紫がかった濃いルビー色になります。光を通さない濃密な色合いは、高品質の証です。カベルネ・ソーヴィニヨンは、熟成による色調変化も楽しめます。

カベルネ・ソーヴィニヨンのルビー色の濃さは、ブドウの完熟度や健全性を示す指標です。日光を十分に浴びて育ったカベルネ・ソーヴィニヨンほど、美しく深みのあるルビー色になります。

筆者

カベルネ・ソーヴィニヨンは、熟成が進むと濃いルビー色からレンガ色(茶褐色)へと変化していきます。

渋みが強く飲みごたえがある

カベルネ・ソーヴィニヨンには、強い渋みと豊かな飲みごたえがあります。タンニンが豊富に含まれているため、渋みが強めです。若いワインほど渋みが強く、熟成によって飲みやすい味わいに変化します。カベルネ・ソーヴィニヨンの飲みごたえを構成する要素は、以下のとおりです。

  • フルボディ
  • 力強い口当たり
  • 高いアルコール度数
  • 重厚感

カベルネ・ソーヴィニヨンは、脂肪分が多い肉料理に合わせて飲むのがおすすめです。タンニンが脂肪と結びついて、調和の取れた味わいを楽しめます。カベルネ・ソーヴィニヨンは長期熟成にも向いており、10年以上熟成しても楽しめます。

カシスやブラックチェリーの香りが強い

カベルネ・ソーヴィニョン 香り

カベルネ・ソーヴィニヨンは、カシスやブラックチェリーのような香りが特徴的です。ボルドー地方で作られるカベルネ・ソーヴィニヨンは、カシスの香りが強く現れます。カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンは、ブラックチェリーやブラックベリーの香りが強めです。

若いカベルネ・ソーヴィニヨンほど、果実の香りが前面に出てきます。熟成が進むと果実の香りが落ち着き、複雑で深みのある香りへと変化します。

木の樽で熟成させるとバニラやスパイスの香りが出る

カベルネ・ソーヴィニヨンは木の樽で熟成させると、バニラやスパイスの香りが加わります。ワインを熟成させるオーク樽には「バニリン」という成分が含まれており、ワインに溶け出すことでバニラの香りが生まれます。バニラの香りが強くなるのは、樽熟成の期間が長いワインです。

カベルネ・ソーヴィニヨンは、樽の種類によってさまざまな味の変化を楽しめます。フレンチオークは、繊細なスパイスの香りとエレガントな風味を与えます。アメリカンオークは、バニラやココナッツの香りが魅力的です。

カベルネ・ソーヴィニヨンの主な生産地

カベルネ・ソーヴィニヨンの産地

カベルネ・ソーヴィニヨンの主な生産地は以下のとおりです。

  • フランス:ボルドー地方
  • アメリカ:カリフォルニア地方
  • その他の生産地

フランス:ボルドー地方

カベルネ・ソーヴィニヨンの最も有名な生産地は、フランスのボルドー地方です。ボルドー地方の中でも、メドック地区とグラーヴ地区が代表的な産地です。ボルドー地方の左岸では、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたワインが多く生産されています。

さまざまな品種とブレンドされたカベルネ・ソーヴィニヨンは「ボルドーブレンド」として世界的に有名です。ボルドー地方のカベルネ・ソーヴィニヨンは、タンニンが多く渋みが強めです。ボルドー地方は伝統的な醸造方法を守りながら、高品質なワインを生産し続けています。

アメリカ:カリフォルニア地方

カリフォルニア ワイナリー

アメリカのカリフォルニア地方は、アメリカ最大のワイン生産地です。カベルネ・ソーヴィニヨンの名産地としても、世界的に認められています。カリフォルニア地方のカベルネ・ソーヴィニヨンが高品質な理由は、気候条件が優れているからです。温暖な気候と昼夜の寒暖差が、ブドウの完熟を促します。

カリフォルニア地方の中でも、ナパ・ヴァレーはカベルネ・ソーヴィニヨンの代表的な産地です。ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンの特徴は以下のとおりです。

  • 力強い果実味
  • しっかりとした樽の風味
  • 高めのアルコール度数
  • 熟したタンニン

カリフォルニア産のカベルネ・ソーヴィニヨンは、フランス産よりも果実味が強めです。アルコール度数も高い傾向にあります。

その他の生産地

フランスやアメリカ以外にも、カベルネ・ソーヴィニヨンを栽培している国はあります。カベルネ・ソーヴィニヨンが栽培されている国や地方は、以下のとおりです。

チリ:セントラル・ヴァレー地域
セントラル・ヴァレー地域では、コストパフォーマンスに優れたカベルネ・ソーヴィニヨンを生産しています。セントラル・ヴァレー地域には、初心者でも手に取りやすい価格帯のワインが豊富です。
オーストラリア:クナワラ地域、マーガレット・リバー地域
オーストラリアでは、力強く果実味豊かなカベルネ・ソーヴィニヨンが人気です。太陽をたっぷり浴びて育ったブドウから造られるワインは、濃厚な味わいに仕上がります。
イタリア:トスカーナ地方
イタリアの「スーパータスカン」と呼ばれる高品質ワインに、カベルネ・ソーヴィニヨンが使用されています。
日本:長野県・山梨県
日本のカベルネ・ソーヴィニヨンは、気候条件を活かした繊細な味わいが特徴的です。
嫁ちゃんソムリエ

スーパータスカンは、「スーパートスカーナ」とも呼ばれます。

筆者

スーパータスカンはクオリティが高く、トスカーナの規定を超越したという意味でスーパータスカンと称されています。

カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培の特徴

カベルネ・ソーヴィニヨン ブドウ畑

カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培の特徴は以下のとおりです。

  • 小粒で皮が厚く病気に強い
  • 寒暖差のある地域で品質が上がる
  • 成熟がやや遅いため温暖な気候が向いている

小粒で皮が厚く病気に強い

カベルネ・ソーヴィニヨンは小粒で皮が厚いため、病気に対する耐性があり、害虫や悪天候にも強い性質があります。ボトリティス菌(灰色カビ病)への耐性が高く、雨の多い時期や湿度が高い環境でも栽培可能です。病気への耐性の高さから、さまざまな気候条件で栽培できます。

病気への耐性は、有機栽培やビオディナミ農法にも最適です。近年の気候変動にも対応できる品種として、世界中から評価されています。

寒暖差のある地域で品質が上がる

ブドウ畑とブドウの木

寒暖差のある地域では、高品質なカベルネ・ソーヴィニヨンが育ちます。寒暖差がブドウにもたらすメリットは以下のとおりです。

  • 酸味が保持される
  • 皮が厚くなる
  • ポリフェノールが増加する
  • 病害リスクが低減する

昼夜の温度差が大きいと、ブドウは緩やかに成熟します。緩やかな成熟過程は、ブドウ内部の風味を発達させるのに効果的です。夜間の低い気温がブドウの呼吸を抑え、日中に蓄えた風味成分を保存する働きもあります。寒暖差のある地域のカベルネ・ソーヴィニヨンは、酸が分解されずバランスの良い味わいになります。

成熟がやや遅いため温暖な気候が向いている

カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培には、温暖な気候が適しています。カベルネ・ソーヴィニヨンは成熟期間が長く、収穫までに時間がかかるからです。寒い地域で栽培すると、ブドウが熟さずに青臭さが残ってしまいます。暑い地域で栽培すると、ブドウの糖度が上がりすぎて酸味とのバランスが崩れます。

カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培は、平均気温が高く日照時間が長い地域が理想的です。最適な気候条件が整うと、カベルネ・ソーヴィニヨン本来の風味がしっかりと発達します。

カベルネ・ソーヴィニヨンの醸造の特徴

カベルネ・ソーヴィニヨン 樽の管理

カベルネ・ソーヴィニヨンの醸造の特徴は以下のとおりです。

  • 果皮と一緒に発酵させて色や渋みをしっかり引き出す
  • オーク樽で6か月〜2年以上熟成させる
  • 長期熟成で複雑な香りや味わいが生まれる

果皮と一緒に発酵させて色や渋みをしっかり引き出す

カベルネ・ソーヴィニヨンの濃い色と力強い渋みは、特別な醸造方法によって生み出されます。「マセラシオン」と呼ばれる技法を使い、果皮や種子、果肉を一緒に発酵させます。カベルネ・ソーヴィニヨンの果皮には、ポリフェノールとアントシアニンが豊富です。

ポリフェノールとアントシアニンの成分をワインに移すことで、特徴的なルビー色と力強い渋みを生み出します。カベルネ・ソーヴィニヨンのマセラシオンの期間は、2〜4週間です。十分な色や風味を引き出すために、ほかの品種よりも長めにマセラシオンの期間を設けています。

オーク樽で6か月〜2年以上熟成させる

ワイン 樽 ナンバリング

カベルネ・ソーヴィニヨンの醸造過程で重要なのが、オーク樽での熟成です。熟成期間は6か月〜2年以上です。熟成期間中は、ワインと樽の間で微量の酸素交換が行われます。樽との酸素交換によって、ワインの味わいが大きく変化します。熟成に使われるオーク樽は、以下の2種類です。

  • フレンチオーク
  • アメリカンオーク

フレンチオークは、繊細な風味と上品なタンニンをワインに与えます。アメリカンオークは、強いバニラやココナッツの香りが魅力的です。ワイン生産者は新樽と古樽の比率を調整して、風味の強さをコントロールします。高級ワインは新樽の利用率が高く、熟成期間が長い傾向にあります。

長期熟成で複雑な香りや味わいが生まれる

カベルネ・ソーヴィニヨンは、長期熟成によって複雑な香りや味わいが生まれます。カベルネ・ソーヴィニヨンは熟成能力が高く、10〜30年以上も熟成可能です。熟成に時間をかけるほど、複雑で奥深い味わいへと変化します。熟成によって生まれる新しい香りは「第3アロマ」と呼ばれています。

第3アロマは、長く寝かせたワインだけが持つ特別な魅力です。熟成によって、濃いルビー色が時間とともにレンガのような色合いに変わります。

カベルネ・ソーヴィニヨンと他のブドウ品種の比較

ブドウ品種 比較 赤ワイン

カベルネ・ソーヴィニヨンと他のブドウ品種との違いを、以下の表にまとめました。比較する品種は、メルローとピノ・ノワールです。

比較項目カベルネ・ソーヴィニヨンメルローピノ・ノワール
味わい渋みが強く重厚な味わい初心者にも飲みやすい味わい軽やかで繊細な口当たり
香りカシス・ブラックベリープラム・チェリーラズベリー・チェリー
タンニンの特徴力強い穏やかで柔らかい優しい
ブドウの外観小粒で皮が厚い大粒で肉厚・皮が薄い皮が薄い
料理との相性肉料理・重めの料理さまざまな料理鶏肉・魚
栽培環境温暖な気候幅広い環境に適応冷涼な気候

品種の違いによる味の変化を知っておけば、料理に応じて適切なワインを選択できます。

まとめ

ワイン 乾杯

カベルネ・ソーヴィニヨンは、濃厚な渋みが特徴的な赤ワイン用のブドウです。強い渋みと豊かな香りを持ち、樽熟成によって複雑な風味が加わります。カベルネ・ソーヴィニヨンは、熟成の度合いによってさまざまな味を楽しめます。複数のワインを飲み比べて、味の違いを楽しんでみてください。

カベルネ・ソーヴィニヨン ブドウ

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この記事を書いた人

日本ソムリエ協会認定のソムリエ夫婦です。
プロの感性を活かして、本当に美味しいワインをご紹介。
ただのレビューサイトではなく、ワインの基礎も分かりやすく学べます。
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